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『さん、キミが心から黒崎さんを護りたいと思うなら』 想う力は鉄より強い。半端な覚悟ならドブに捨てなさい。喜助と名乗った彼はそう言った。半端な覚悟なら、貴女は死にますよ。喜助さんの言葉が頭をぐるぐると回る。その覚悟が貴女にありますか。・・・私はその問いに、すぐに応えることができなかった。どうしてだろう?・・・一護の役に立ちたい。その気持ちは確か。それなのに。私は一体何に迷っているのだろう。ぎゅっと手を握りしめたら、自分の手が僅かに震えていることに気が付いて、驚いた。私は、一体、何を、躊躇しているのだろう?半端な覚悟なら、貴女は死にますよ。・・・・・もしかして私は、死ぬことを、恐れているの? 「ッ!!!!!!」 「え・・・?」 思考が中段される。鼓膜を震わすのは幼馴染みの声。俯いていた顔を上げれば、走ってきたのだろうか。額にうっすらと汗を浮かばせて息を切らした一護の姿。 「いち、ご?」 「おっまえ・・・!!!こんな時間まで一体どこで何をしてたんだよ!?」 「あいたぁ!!!!」 ゴツン!聞く人が聞いたら十中八九、いい音だったと答えるだろう。一護はなんの躊躇いもなく、そして手加減をすることもなく、私の頭を拳骨で殴った。一護は空手の有段者。痛いなんてものじゃない。悲鳴を上げることすらできなくて、ただただ痛みに耐えるように蹲る。前にもこんなことがあったのは気のせいか。気のせいだと思いたい。 「いた・・!!本気で痛・・・!!!」 「アタリマエだ、本気でやったからな」 「鬼・・!!!」 「こんな時間までうろついてるオマエが悪い」 うちの門限は七時までだ。と一護は不適に笑う。その笑みを恨めしそうに見上げれば、ぱちりと目が合った。しかし、それは一瞬で。一瞬でその不適な笑みは崩れてしまい、一護は不機嫌そうな表情を再度浮かべて、私から顔を背けた。その不自然な行動に、ああ、そう言えば一護と喧嘩をしたままだった・・・と、いうことを思い出す。一護の分からずや。確か私はそう吐き捨てて部屋を飛び出したんだった。ワオ!気まずい、とは俯いた。ほんの数秒前まで自然と会話していたというのに、会話の仕方が分からなかった。一体どうすれば。とりあえず、心配させてしまったことを謝ろうと顔を上げようとしたその時・・・ふわりと何かに包まれた。 「・・・・さっきは悪かった、」 ぎゅっと、抱きしめられる、感覚。ただ。一護はぼそり、と呟く。 「・・・ お前に傷付いて欲しくないだけだ、」 一言、一言をぼそりと呟く。それが彼の不器用さを表していて、何だか可笑しくて笑ってしまった。それと同時に愛しさがどうしようもなく込み上げてきて、一護の腕に手を回す。びくっと、一護の身体は震えたけれど、私の行動に応えるように抱き締める腕に力がこもった。 「・・・・ うん、分かってる、分かってるよ、」 私を抱き締める腕が。あまりにも優しくて、温かくて。ああ、自分はなんてバカな人間だろう、と思わずにはいられなかった。 このぬくもりを護るためなら、 『覚悟が決まったら、またアタシのところにきてくださいねん』 さあ、覚悟は決まった。貴方を護るために、私は強くなろう。 |