『そんなに悔しいなら、アタシが何とかしてあげてもいいっスよ?』



彼は浦原喜助という名前だという。その言葉と共に差し出された手はあまりにも優しく。私は無意識の内に彼の手を握ってしまっていた。どうしてだろう。見ず知らずの人だというのに。けれど、不思議と怖い気持ちはまったくなくて。むしろどこか懐かしいとさえ思ってしまう自分。彼の纏う雰囲気と同じものを以前から自分は知っている気がした。それが何なのかはまったく分からないけれど、でも、不思議と安心してしまうものだったのだ。



「・・・・さん、そんなに見つめられると照れるんですけどねえ」
「あ・・・スミマセン、」


そんなに見られると、顔に穴が空いちゃいそうですよ。そうやって彼は笑った。


「あの、」
「はい?」
「何とかするって言いましたよね、」
「いいましたねえ、」
「・・・・何を、するんですか?」
「さあ・・・」
「え、」


何をしましょうか。ゆっくりと伸ばされた手はするりと、私の頬を優しく撫でた。その手が少し、冷たくて。


「あ、の」
「そうですねえ・・・さん、」
「は、はい」


気が付けばお互いの息を感じられるほど近くに、喜助さんの顔。彼はにっこりと不適な笑みで笑った。



 

アタシと10日間修行しましょうか。





・・・・はい?