儂の修行はちと厳しいぞ そう言葉を紡いだのはどこからどう見ても、黒猫で。どうして特別講師が猫なんだとか。どうして黒猫が喋るんだとか。気になることはたくさんあったけれど。何故だかこの状況にまったく動じていない自分がいた。


「ほう・・・儂の姿を見ても動じぬか」
「だって話の本題はそこじゃないでしょ?」
「・・・・面白い、」


夜一さん・・・(姿は猫だけども何だか敬称を付けた方がいいと思った)が愉快そうに目を細めた。


「それで?何から始めるんですか?」
「・・そうじゃな、まずはお主に『死神』と同等の霊力をつけてもらおう、」
「・・・どうやって?」
「・・・・それはお主が一番知分かっているのではないか?」
「え?分かってるって・・・・」





さ あ、 堕 ち て こ い






―――脳内に響く低い声色。それは甘く、囁くように。深く深く。まるで麻薬のように体中に染み渡って。





「なに、コレッ・・・!!!」






さ あ、 堕 ち て お い で
―――・・・・闘いの仕方を 教えてやろう。







「・・・・・ッ・・・!!!」



視界が一気にブラックアウトした。


「・・・おっと、危ない、」


まるで糸が切れたマリオネットのように体が崩れ落ちたを、地面に叩き付けられる寸前のところで喜助が咄嗟に受け止めて。そして一言。 行きましたか と呟いた。


「・・・夜一さん、これで良かったんでしょうか」
「・・・・必然だったのだ、この現世で平凡に暮らしていても、因果がを逃しはせぬ」
「・・・・・・それでも、アタシは」








この子には何も知らぬまま、
幸せに暮らしていて欲しかった。











「・・・・・本当にはあやつに似ておるわ、」


喜助と夜一の呟きは。深淵な闇に堕ちたの耳に、届くことはなかった。