008 Quando ci rivediamo?

 今 度 会 う の は い つ に し よ う か?









別に好みでもない女だった。誘われたから。誘いにのっただけ。自分の横ですやすやと寝息をたてている名前も知らぬ女を横目で見やりながら、シャバックは乱れたシャツを整えた。その瞬間にふわり、と噎せ返るような香水の薫りが漂って、思わず眉を潜める。・・・女の匂いが移っている。シャバックは舌打ちを一つ。またロベルトにどやされるな、と溜め息を吐いて、そうっと女に跨がった。
―――好みでもなんでもなかった。それなのに誘いにのったのは、ただ血が吸いたかったから。それだけだった。輸血パックよりも、生の血の方が断然美味く、それは甘く咽を潤おす。満たされることないこの咽の乾き。この乾きを潤すのは、生の血だけ。・・・・・・撫でるように。指先を女の髪に絡めて、首筋に顔を近付けた。顎から首。首から肩。肩から鎖骨へ。静かに唇を移動させながら。ゆったりと舌を這わせて。そして最後に首筋を舐め上げた後。シャバックはぺろり、と己の唇を舐めた。

―――さあ、食事の時間だ。

「いただきまーす、」

がぶり、と女の肩に犬歯を突き立てた。咽の乾きを潤そうと女の血を貪る。ああ、これで。これで、少しは楽になるはず。この乾きも。少しは潤おうだろう・・・シャバックはそう思った・・・・・しかし、血を一口飲んだ後。シャバックは顔を歪めて肩から牙を離してしまった。思わず口から零れる言葉。

「・・・マズイ、」

こんなこと今までになかったのに。シャバックは思う。輸血パックの血よりも生の血が美味いはずなのに。初めて、生の血を不味いと感じた。一体なぜ?  


「・・・・・   ああ、そっか、」


意外と簡単に答えが頭に浮かんで。思わず苦笑いをせずにはいられなかった。


「・・・・アイツ、か」


――― 理由は単純明解で。 答えはただ一つだった。 
シャバックは知ってしまったのだ・・・・・・・・と言う名の極上の味を。