005 Stai scherzando?

か ら か っ て る の ?









当たり前のように過ごしていた日常は。
あの日から私の意志に関係なく。
非日常へと変化してゆく。







「おい、ってヤツいるか?」


教室に響く自分の名前に、ビクリと身体が震えた。


「あ、あの、私、ですけど・・・」
「・・・お前が、?」
「はあ、そうですけど、」
「ふーん・・・(じろじろ)」
「な、なんですか?」
「シャバックが言うからどんな女かと思えば、ただのガキじゃん」
「んな!(ガキ!?)」
「可愛いわけでもねーし、美人なわけでもねーし・・・強いて言えば、普通?」
「・・・わ、わざわざ私を貶しにきたんですか・・・!っていうか誰ですか貴方!」
「はあ!?なんだお前、オレのこと知らねーの?」
「し、知りませんよ!」
「二年のロベルトって言えば、分かるだろ!」
「さあー・・・?」
「・・・・・・」
「なんで睨むんですか・・・!」
「・・・シャバックもリウもどうしてこんな女のこと気に入ったんだか・・・」


はあ、と溜め息を吐くロベルト先輩。え、それだけを言いにきたんですか?溜め息を吐きたいのは私の方なんですけど!どうして初対面の貴方にこんなことをいわれなければならないんだ。と先輩だということも忘れてギッとロベルト先輩睨む。(対して効果はないと思うけど)(でも失礼すぎるじゃない!)そんな私の様子をロベルト先輩は面倒臭そうにじっと見た後。 いや、確かめにきただけだ。 と一言呟いた。 ・・・え、確かめに? 一体何を?


「・・・・っ、!!?」


頭にクエスチョンマークが浮かんだときはもう遅かった。シャバック先輩とリウ君の名前が出たときにもう少し警戒をすれば良かったのだ。ぐい、と乱暴に腕を引っ張られて、気が付いたときには時すでに遅し。ロベルトには抱きしめられていた。失礼極まりなかった台詞とは裏腹に、抱き締める腕の強さが優しいことに驚く。


「あー、確かにお前、いい匂いするんだな、」


言葉通りに。匂いを確かめるように、先輩は私の首筋にゆっくりと顔を埋めた。首筋にロベルト先輩の吐息を感じて、全身の血が熱くなる感覚。無意識に震える手で先輩の服を握りしめていたようで、先輩がふ、と笑ったことが空気を通して伝わった。腰に回った腕の強さが、ほんの少しだけ強められたのは気のせいだろうか。  


「…シャバックの言う通り、これは癖になるかもな」


最後にふわり、と髪を撫でられて、まるで何ごともなかったかのように私の身体を放す先輩は、いたって普通で。教室中に響くクラスメイトの悲鳴が、これが非日常の始まりだということを教えてくれた。