ドリー夢小説

   

  外はさっきまで星が出ていたことを疑ってしまうくらいの大雨が降っている

  滴る雫の音と時計の秒針の音が重なり、部屋は静かな空間を生み出していた

  常に騒がしく、読み途中の小説を読む暇すらない学校に比べて、何て心地よいのだろうと思う

  今、読破してしまおうか  

  明日の授業の予習もしてしまったし、大してすることがない

  時計は既に真夜中の十二時を過ぎているが、眠くもない

  テレビをつけても、折角のこの空間が雑音で満たされてしまう――それは嫌だと思った

  
 「今日中に読んでしまいましょうか…」


  アキラはそう呟いて、鞄に入ったままになっている小説を取ろうと腰を上げた



 「―――?」


  ふと感じた気配に眉を寄せた

  視線、とでも言うのだろうか

  外からこの部屋に真直ぐに向かっているように感じられる、意識

  その気配に身に覚えがあると感じた自分をすぐさま否定した

  こんな所にいるわけがない

  そう自分に言い聞かせた

  しかし、感じる雰囲気は彼女そのもの

  何故ここにいる?

  アキラは無意識の内に部屋を飛び出していた


  雫と時計が生み出す静寂な空間は、アキラのドアを閉める音によって壊された


 





 「!」


  やはり感じた気配は彼女だった

  この大雨の中を傘もささずに来たというのか

  長い髪はしっとりと塗れ、毛先から雫が滴り落ちていた

  服はもう着ている意味さえないほどずぶ濡れで、のすらりとした身体のラインが窺える

  頬に貼り付く髪を払おうと手で触れると、ギクリと身体を強張らせてしまう程に冷たかった

  これ以上、をここに置いては駄目だと頭の中で警鐘が鳴り響く

  
  
 「アキラ…」

 
  
  は私の名前を呟くと同時に、抱き着いてきた

  背中に腕を回して、しがみつく

  心無しか震えているようだった

  それは寒さからか、もしくは別の理由からか

  ここまできてようやくがここにいる理由がうっすらと分かってきたように思った



 「大丈夫、大丈夫ですよ」


  
  そう言いながら、漆黒の髪を優しく撫でる

  こうしていることで貴女の不安が取り除かれるのなら、いくらでもこうしていよう

  安心するのなら、いくらでも、薄い紫に変色してしまった唇を己のそれで温めよう  







  
  雫が奏でる音楽が貴女を癒してくれればいいのに


  震えるその肩をもっと強く抱きしめようか―――塗れることすら厭わないのだから










  震 え る そ の 肩 を 

  
  





   

  



  

  
 
  
 (恐い夢を見たの。気が付いたら、貴方のところにいたの)