「ましゃ、」
「うん?どした、桜桃」
「あのね、抱っこ!」
「抱っこ?」
「ん!抱っこ!」
「・・・っう!」




可愛い可愛い可愛い! 心の内で盛大に叫びながら将臣は嬉々として桜桃の手を取ろうとしたけれど、 「将臣は桜桃を甘やかしすぎなの」  呆れたように溜め息をつく妹のの姿が脳裏に浮かんでしまい、ふと伸ばしかけた手を止めた。そんなこと言ったって可愛いんだから仕方ないだろ! 幾度となくそう反抗してみたものの。 「将臣が桜桃を甘やかすから、最近は誰にでも抱っこを強請るようになったのよ」 と冷ややかな目で返されたものだから。思わずかちん、ときてしまった。抱っこぐらいいいじゃないか。一体何が駄目だって言うんだよ、と内心舌打ちをしながら、そんな妹の台詞を聞き流そうとしたのだが。  「じゃあ将臣は桜桃が知盛に抱っこしてもらうのはいいわけね」  この間、桜桃が知盛に強請っているのを見て思わず倒れそうになったわ。  なんて聞き捨てならない台詞が耳に飛び込んできたものだから。今までの自分の桜桃への甘やかしっぷりを反省してしまったのは言うまでもないことだろう?初めてできた姪っ子は本当に可愛くて可愛くて。目の中に入れても痛くないとはこういうことかと、身を以て知ったのけれど。でも、その姪っ子がどこぞの獣に喰われるくらいなら(に縁起でもない!と怒られた)桜桃のために心を鬼になろうと決意したのだ。 「ましゃ!ん、」 そう、誓ったはずだったのに。こんなにも期待に満ちた目で見上げられるとどうにも弱いもので。まったくどうしたものか。この上目遣いとこの首を傾げる動作が、何だか最近磨きがかかってきたのは気のせいだろうか?それとも、本能でこれをやれば頷かない大人はいないと思っているのだろうか。



「ましゃ!ん!」
「・・・ 、しょーがねえなあ、」




まあ、どちらにしても。結局のところ、逆らえないんだよなあ。はあ、と将臣は溜め息を吐いて桜桃の小さな体躯に手を伸ばした。そんな自分に呆れてしまうのは、もういつものこと。





きらきらひかる