連日の雨ですっかり溜まってしまった洗濯物を漸く干し終えて、朝の段階で干し終えたものを取り込んだ。石鹸と太陽の匂いがふんわりと鼻孔をくすぐって、自然と頬が緩む。そろそろ、さんとお茶にでもしましょうか。そう言えばこの間、九郎から美味しい茶菓子を貰ったのだ、とふと思い出す。そう、まったく九郎ときたら、一体どこから仕入れてくるのか。可愛らしい動物の菓子を満面の笑みで買ってくる。そう。それも桜桃が喜びそうなものばかりを、狙って。(・・・ どんな顔をして選んでいるんでしょう) そんな日が頻繁に続くものだから。彼は大分、と言うかかなり桜桃に甘いと呆れてしまったのは言うまでもないこと。  まあ、そういう自分も大分甘やかしているのだけれど。(自覚はきちんとしていますよ、)   



「・・・おや、」



そんなことを頭の片隅で思いながら取り込んだ洗濯物を置こうと縁側に近付いたとき、そこにはなんとも微笑ましい光景が広がっていた。洗濯籠を静かに縁側に置いて。音を立てぬように歩み寄ると。そこには柔らかな日差しを浴びて、気持ち良さそうに寝息を立てる自分の妻と娘の姿。久しぶりの晴天に2人で日向ぼっこを楽しんでいた様子だったが、どうやらこの暖かさには勝てなかったようで。特に桜桃は加えて母親の腕に抱かれているものだから。その温かさも合わさって、今日はぐずることもなく、大人しく眠っている。日に透けるような柔らかな髪を撫でて。僅かに開かれた口から漏れる息に何だか安心感を覚えた。



「・・・ それで、いつまでそこでいるつもりですか、ヒノエ、」



一体、いつからそこにいたのか。後ろを振り向けば、新しい玩具を見つけた子どものような。そんな顔をしているヒノエと目が合った。



「見てて飽きなくてね、」
「・・・羨ましいんですか?」
「まさか、・・・ただ、本当に大切そうに触れるんだなって思ってね、」
「・・・大切ですよ、今まで傷付けてばかりいたからその分も、大切にしたいって思ってますし、それに、
甘やかして甘やかして僕なしじゃ生きていけないくらいに甘やかす予定ですから、」
「・・・も災難だね、こんな奴が夫で、それで桜桃にとってはこんな男が父親で」
「僕もそう思います、」
「・・・冗談のつもりだったんだけど、」
「はは、分かってますよ、」
「ったく・・・まあ、でも、」



良かったんじゃない。呆れにも似た顔でヒノエは溜め息まじりに呟いた後。  「・・・ ええ、 ありがとう 」  短いその返答に、満足そうに目を細めた。








きらきらひかる











「・・・、んん」
「・・・ おはようございます、さん、」
「おはよう・・ございます・・?」
「・・・あー、ぅ」
「ふふ、桜桃もおはよう、」