「・・・・女の子、」
「え?」
「女の子ですよ、生まれてくる子どもは、きっと」
「・・・・本当に?」
「ええ、」
「どうして分かるんですか?」
「うーん・・・ただの感です、でも確信があります」


きっとこの桜桃梅(ゆすらうめ)のような、可愛らしい女の子です。庭に植えられた一本の桜桃梅。毎年毎年小さくて白い、可愛らしい花を見せてくれる、木。それを指差しながら自信たっぷりと、まるで悪戯を思い浮かべた子どものような笑みを浮かべて弁慶は言ったのだ。生まれてくる子どもはきっと女の子である、と。どこからその自信が出てくるのかは分からなかったけれど、そのちょうど一週間後に。言葉通りに、弁慶との間には女の子が生まれたのだ。















さん・・・!!!!」
「あ、弁慶さん随分戻るのが早かったんですね、」
「途中で馬を三頭くらい駄目にしましたが何とか無事に戻ってきました・・・ああ違いますそうではなくて!」
「(何だか不気味な台詞が聴こえたような気がするけどいいや)分かってますよ、」



はくすくすと笑いながら、自分の横で寝ていたわが子をそうっと持ち上げた。



「弁慶さんの言う通り、やっぱり女の子でしたよ」



ゆっくりと優しい動作でからわが子を受け取り、その手に収めた。まるで壊れ物を扱うかのような、あまりにも優しい弁慶の手つきに、の笑みが深くなる。生まれてまもない一つの命が今、自分の手にある。それが何だか不思議だと弁慶は思った。自分と愛おしくてたまらない彼女、の二つの遺伝子を受け継いだ命。それを今自分が抱いていると思うと、とても不思議で気恥ずかしい気持ちになる。ずしり、と手に感じる命の重み。胸がじんわりと熱くなる・・・・・ああ、自分は父親になったのだ。弁慶はわが子を抱きしめる力をほんの少し強くした。感じるわが子のぬくもり。それがとても温かくて、無事に生まれてきたということを安心させてくれる。



「・・・・・・何だか、とてもくすぐったい気持ちですね、この腕にわが子を抱くというのは」
「・・ふふ、そうですね、私もこれでお母さんになったんだと思うと、少し照れくさいです」



頬をうっすらと染めてはにかむ。そんなの様子に弁慶はうっすらと目を細めて。片方の腕でわが子をしっかりと抱きしめて、空いたもう一つの腕での身体を引き寄せて、ゆっくりと頭を撫でる。



「・・・・さん、よく、頑張りましたね、さすが、僕の奥さんです」
「・・・本当はすごく、心細かったんですよ、初めての経験だったんですから、」
「すみません、次の子のときは必ず立ち会うようにしますから、」
「・・・それはちょっと気が早いんじゃないかな・・!」



お互いに顔を見合わせて。そして、ふ、と声を揃えて笑い合った。この幸せをどうやって言葉にしたらいいでしょう。


ああ、ずっとずっと待っていたよ。ずっとずっと、貴女に会いたかった。
腕にかかる命の重みのなんと愛おしいことか。
僕たちの可愛い、可愛い愛し子。





生まれてきれくれて、ありがとう。




きらきらひかる







「ところで、」
「はい?」
「この子の名前、どうしましょうか、」
「ああ、そのことなら心配無用、ちゃんと考えてありますよ、」
「え!どんな名前ですか!?」
「ふふ、この子の名前は・・・」