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「あ、」 「どうしました?さん」 「いま、動きましたよ」 ふふ、すごく元気。はふっくらと丸くなったお腹を愛おしそうに撫でた。今は妊娠八ヶ月目で、臨月まであと二ヶ月。一番安静にしていなければならない時期だというのに、この娘ときたら。分かっているのかいないのか、やたら動きたがる。特に稽古をしようとしたときは流石に全員で止めた。当の本人はだって体が訛ってしまうんだもの、とほがらかに笑っていたが、こちらとしては気が気でない。彼女の夫である弁慶が、仕事の手が空いた隙に様子を見に行ってしまうのは当然のことだろう。しかし、その頻度が段々と多くなってきていることにこの娘は気付いているのだろうか。いやきっと気付いていないのだろう。この間なんて自分の仕事を放り投げてこちらに来ていたらしい。(将臣が言っていた)残された仕事を押し付けられるこちらの身にもなって欲しいものだ、九郎は気付かれないようにこっそりと溜め息をついた。 「・・・触っても?」 「もちろん・・・あ、」 「あ・・・、」 「・・・動きましたね、」 「ふふ、本当に元気な子ですね」 「そうでしょう?ほら、父上だよー」 「・・・早く君に会いたい、」 「私も、早くあなたの顔が見たい、」 目を合わせて、声を揃えて笑い合う。大きく張った自身のお腹を撫でるの顔はもう立派な母親の顔で。そして、それを柔和な笑みで見つめる彼、弁慶もまた、立派な父親の顔だった。そんな二人を見たら、言おうと思っていた文句なんて頭から消えてしまうのは致し方のないこと。 大丈夫。お前の両親はいいやつだから、だから、安心して早く出ておいで。 きらきらひかる 「いつまでそこで覗いているつもりですか、九郎」 「・・うっ!!!」 「あら九郎、いらっしゃい」 |