ドリーム小説


 「ねえねえ、、あの人だかりは何だと思う?」

 「え?ってうわ、何あれ」


  友人が指を指した方向の先を辿って見ると、そこには校門の周りにの学校の女生徒が群がっていた

  その中にはその様子を興味本位で覗いている男子生徒の姿も窺える

  一つの場所に同じ色が集中していて、は素直に気持ち悪いと思った、自分も同じ色の制服を着ているものだから尚更


 「カッコイイ人でもいるのかなぁ」

 「さあ?」

 「ってば興味ないの?」

 「うん、特に」


  まったくないと言われれば嘘になる

  しかし、自分はその「カッコイイ人」を見てきゃあきゃあ騒ぐ程男に飢えているわけでもないし

  仮にその人物を見ても「ふうん」しか思わないだろうというどうでもいいような自信がある

  それは単に自分の目が肥えてしまって(同じことが望美にも言えることであるが)

  この世のものとは思えぬ顔立ちの持ち主(つまり美形ということだが、それも超が付くくらいの)に多く出会ってきたからだ

  そして彼らが今、自分の身近にいるからだ、とは思う


 「(あ、そう言えばヒノエ君に携帯が買いたいから一緒に来てくれって言われてるんだった)」


 「カッコイイ人」という言葉から連想させて、今日約束があったことを思い出すなんて自分は不謹慎だ、ヒノエ君ごめん、と心の中で静かに謝った

  考え事をしていた数秒の間にどうやら自分は群集の近くまで来てしまったらしい

  隣を歩く友人は輪の中を必死にみようと背伸びをしていたけれどは何も気にすることなく横を足早で通り過ぎた
  
  完全に通り過ぎて安堵の溜め息を付いたその直後、の耳にここにいることなど到底思えぬ人物の声が聞こえた



 「さん」



  自分の名前を呼ぶこの声に聞き覚えがないわけがない

  彼の柔らかで穏やかな声はもう、聞いただけで身体が反応してしまうほどに深く刻まれているのだから



 「え、弁慶さん?」

 「ああ良かった、入れ違いにならなくて」

 「ちょっと待って、どうして弁慶さんがここに…って、う、わ」

 「さあ、行きましょう」
  


  有無を言わさずに弁慶はの腕を掴み、そのまま足早に立ち去る

  後ろから友人の「明日説明してもらうからね!」と言う言葉に、少し面倒臭い気持ちを抱えて







 「ちょ、弁慶さん!」

 「はい、何でしょう?」

 「学校に来るなんて、一体どうしたんですか?」

 「君に会うのに理由は必要ですか、君と同じ時間を過ごしたかったから、これでは答えになりませんか?」

 「…からかわないでください」

 「おや、心外ですね、僕はいつでも本気ですよ」

 「嘘、だって今日の弁慶さん、いつもの余裕がまったくない」


    
  何だか、何かに焦っているようにも見えますよ、というの言葉に弁慶は掴んでいた腕を離した

  そしてそのまま腕を上げて、掌で口元を覆う、顔は少し俯き加減でその表情を窺うことができないが



 「まいったな…」

 「え?」

 「君に指摘されるなんて、何だかとても悔しい」

 「…すごく失礼じゃないですか、それ」

 「ふふ、だって、気付かれたくなかったからものですから」



  何に?という言葉を紡ぐ前に温かい彼のそれによって唇を塞がれて

  ゆっくりと顔が離れていくのをぽかんとした顔で見ていたら、弁慶さんの頬がうっすらと紅く染まっていることに気付く

  いつもならここで、何をするんですか!と大きな声で怒鳴るところだけども、今はそんなことすら忘れて、照れているであろう彼の顔を可愛いと思う自分がいた





 「…嫉妬をする男を、君は見苦しいと思いますか?」

  



  ヒノエから君と一緒に出かけるという話を聞いたら、いてもたってもいられなくなって、気付いたらここに来ていました

  そんなことを言われたら見苦しいとか思う以前に、顔に血が通い過ぎてしまったように真っ赤になってしまうよ、今の私みたいに













  それもひとつのあいのかたち