ドリーム小説


 「確かに、私の不注意で弁慶さんやヒノエ君を巻き込んでしまったことは謝ります、それに後先のことを考えずに行動してしまったことも」

  
  体調も回復し、久し振りに外に出たいな、と思っていたらそれに呼応するかのように雲が晴れて太陽が顔を出すものだから嬉しくて、

  数日降りに外の空気に触れられることができるのが嬉しくてつい調子に乗ってしまった

  同行を勝って出てくれた弁慶さんやヒノエ君の止める声も聞かずに、柄の悪い男共に絡まれている女性を見つけた私は全速力でそこへ走っていった

  

 『ちょっと!その人嫌がってるじゃない、今すぐその手を放しなさい』

 『へへっ、こいつァ、上玉が引っ掛かったものだ…!姉ちゃんが代わりにオレたちの相手をしてくれるのかい?』

 『お生憎さま、あんたたちに私は高すぎるわ、他を当たって頂戴』

 『な、何だと…!?』

 『って言っても、あんた達みたいな厭らしい男なんて誰にも相手なんかしないと思うけどね』

 『こ、こいつ黙って聞いていれば…!』



  男の一人が手を振り上げる

  毎朝九郎さんや望美と鍛練をして少し自分の腕に自信が付いていたものだから、これくらいは、と避ける体制に身構えていたら、

  自分の後ろからすらりと伸びた手が、すんなりとその腕を掴んだ


 『――汚い手で、俺の姫君に触らないでくれるかい?』


  その声は自分の知っているそれとは違って随分と低いもので、ぞくりと背筋が震えた

 
 『何だ、おまえ…っ!』 
 
 『――おっと、動かない方が身の為ですよ?少しでも動いて御覧なさい、貴方の首が胴体が離れることになります』
  

  男の首には何時の間にか薙刀の刃が ぴったりと突き付けられていて、少しでも動こうものなら、少しでも、力を加えようものなら、

  いつでもその首を斬ってやろうという意志が窺えた

  柔和な笑顔でさらりと述べるこの男にも、寒気を感じずにはいられない


 『この野郎…!!!』
 
 『きゃあ!』

  
  男の一人に突然腕を引っ張られて、そのまま腕を背中の後ろで拘束された、

  まったくここまで脅されたというのに、まだ動ける奴がいたのかと身動きができないまま内心で舌打ちをした
  

 『――ここで身を引いてくれていれば、手荒な真似はしないつもりだったのですが…』

 『お前、覚悟は出来ているね?姫君に手を出したからには容赦はしないよ?』


  恐い、恐過ぎる

  ああでも、彼らが大の大人が震えてしまう程の殺気を放ちながら静かに闘志を燃やしているのはすべて自分のためなのだ

  そう考えると恥ずかしくもあり、嬉しくもあるのは事実

  けれど、やはり、ここまで大事になってしまったのは自分のせいであるわけだから、どうやって穏便にすまそうかと頭を巡らせた

  ――の、だけども



 『まさか、あんたと戦うことになるなんてな』

 『ふふ、さんのためなら君も嫌じゃないでしょう』




  何をやらかすつもりなのだ、この人たちは

  

  


  
  











 「確かに、私の不注意で弁慶さんやヒノエ君を巻き込んでしまったことは謝ります、それに後先のことを考えずに行動してしまったことも」

 「本当に、君が手を上げられそうになったときは、寿命が縮みましたよ」

 「まったく、元気になったことはとても喜ばしいことだし、俺も嬉しいことに変わりはないけどね、これで怪我をされたら元も子もなくなってしまうだろう?」

 「…すごくすごーく反省してます、そして心配をかけてごめんなさい、何度でも謝ります…!あの、でも」

 「でも?」

 「――浪人相手に協力技を使うことはなかったんじゃないかなぁ、と思う、のですが」




  確かに望美から、心配だから念ため!と軍荼利明王の札を渡されてはいたけども、まさか、本当に使うとは

  しかも、絡まれた女性は無傷であったところを見ると、流石というかなんというか、誉める言葉よりも先に呆れの言葉が出てくる

  いくら人間相手だから、と普段より数倍も気の力を抑えていたとはいえ、ここが町中だったら大変な惨事になっていたに違いない

  口では言えないけれど、浪人たちに少しだけ、同情心が芽生えてしまう、今頃目を覚まして反省してくれればいいのだけど




 「そうですか?彼らには充分と良い薬になったと思いますよ」

 「話が通じる連中じゃなかったからね、ああいう輩には身体で分からせてやるのが一番いい」

 「それに――」






 


 「「君(お前)を傷つけるものは、例え誰であろうと許さないから」」




  

  

  両方の耳もとで、片方ずつ、囁くように言われた私の顔は、まるで夕日のように真っ赤に染まってしまったことは言うまでもないこと
  

  









  きみを傷つけるものは、さない