ドリー夢小説


  「お前は綺麗な女だ」



  終わらない、死の螺旋

  


 「…!傷が…!」

 「止めて、放して!放してよぉ!」



 
  肩が焼けるように熱く、傷が麻痺をしているかのように、痛みを感じない

  凝固しつつある紅いそれは、私を必死に止めようとする九郎から逃れようともがく度に殻を破り、どくどくと溢れ出す





 「誰よりも生に貪欲で」
  
 「嫌だ…っ」

 「誰よりも綺麗だ」

 「嫌だ…っ!知盛…!」



  肩から溢れる生温く紅い液体は私の体を深紅へと染めあげた

  

 「…!」



  紅く染まった私を見て、九郎は目を見張る

  弱まった腕の力を見逃す私ではなく、一瞬の隙をみて、私は九郎の腕の拘束を抜け出した
  
 

 「知盛…っ!嫌だ、行かないで…!」



  真っ赤に染められた知盛の頭を掻き抱く

  強く、強く、行かせてなるものかと、自分に言い聞かせるように

  光に当たると、まるで星のようにキラキラと光る銀色の髪は、私の手によってどす黒く変色する

    

 「最後に見るのがお前の涙とは…」



  さらりと私の頬を撫でる知盛の掌は、彼とは思えぬほど、慎重で




 「…まあ上々だな」

 「とも、」




  その先の言葉は彼に塞がれて、消えて

  そっと触れた血の味がする唇は、彼には似合わないほど、優しかった





 「じゃあ、な」 





  満ち足りたように笑う彼の笑みが目に焼き付く前に、私はどんと胸を押され後方へと飛ばされた

  咄嗟に伸ばした腕は空を切り、手には何も残らなかった
  

  





 「いやああああああああ!」










  終わらない死の螺旋

  私は、何度、「命に代えても、貴方を」と言わなければならないのだろう

  その、言葉の先は、





  今は、溢れる涙のせいで、紡ぐことはできないけれど




  
  





  

  


  にかえても、貴方を。