ドリーム小説
「リヒャルト!!」
自分の名前を呼ぶ声がする
それは耳によく馴染み、聞くだけで頬を緩めてしめてしまうような優しい声で
「リヒャルト…!!」
名前を呼ぶ声が僅かに震えを帯びているのは気のせいなのか
頬に冷たい何かが落ちる感触がして身じろぎをした、しかし身体は痺れているのか満足に動かせないのが歯痒い
ゆっくりと静かに目を開けるとそこには大粒の涙を流してこちらを見下ろしている愛しい愛しい彼女の姿が目に飛び込んできた
ああ、頬に当たったのは涙だったのかと、上手く働いていたい頭で思う
「あ、れ?…?」
「リ、リヒャルトォ…!!」
リヒャルトの手を強く握りしめていたは未だ眠ったままの彼に抱き着く
グエ!というようなカエルが潰れてしまったような声が聞こえたがそんなことは気にもせず
一体自分がどうしてベットの上に横になっているのか、何故は泣いているのかさっぱり分かなくて
リヒャルトは首に抱き着いてわんわんと泣いているを慰めようと頭を撫でながら
こちらを呆れたようにしかし安心したような眼差しで見るヴィルヘルムとミューラ−を見た
「んっと…えっと…あ、れ?」
「まだ寝ぼけてるのかこのボケが」
ミューラ−に頭を思いきり強く叩かれ、その痛みで徐々にリヒャルトの意識が覚醒していった
「イタッ!!もー酷いよミューラ−さーん!」
「これですんだだけでいいと思いやがれ、お前が気絶している間こっちは大変だったんだ」
どうやら話を聞くと自分は試合の相手側に薬を盛られてしまったらしい
ああどうりで身体が痺れるわけだと思った、今は大分治まっているけども
ミューラ−に出てみろと言われたから出場したわけであって、まあ出てみろと言われたからには優勝する気はあったリヒャルトであったが
元より闘神祭で優勝した者に与えられる王女と結婚する権利や未来の女王騎士長が約束された地位に興味などない
だからミューラ−の話を聞いてああそうなんだ、としか思わなかった、のだが
「ったく…大変だったんだぜ?が取り乱してよお」
は自分が薬を盛られたと聞いて散々取り乱したらしい
リヒャルトが死んじゃう!と泣き喚いたようで
それはこのリンドブルム傭兵旅団の二人がが慌ててしまうようなほどだったらしく
ああ是非ともその場に居合わせたかった!と思ったけども、口には出さないことにした
言ったら今度はどんな鉄槌を下されるか分からないし!
「ー?」
出来る限り優しい声でに話し掛ける
しかしその腕は強まるだけで
腕の強さ、イコール、自分をどれだけ心配していたか、なんて分かりきったことで
頬が自然と緩むのを止めることは出来なかった
「へへへ〜」
「な、に、笑ってるの、よぉ…!!」
「んー?に愛されてるなぁって思って」
「なっ、あんた…私がどれだけ…!!」
「うん、心配かけてごめんね?」
ゆっくりと起き上がって、の瞳を下から覗き込むように見ながら
安心させるように頭をゆっくりと撫でれば、彼女の瞳から大粒の涙がまた溢れだして
「もうこれ以上心配させないで…」
何て可愛いことを言うものだから
キスでもしてやろうかとゆっくりと顔を近付けたが
いちゃつくな!とミューラ−に殴られてしまったのは言うまでもないことで
それでも緩みっぱなしの彼の頬に第二の鉄拳がミューラ−から飛んでくるのは今から数秒後の話
まるで未来を予言するかのようなラブソング
「お前が万が一優勝してたら面白いことになっててかもしれねぇな!」
「ヴィ、ヴィルヘルムさん!?」
「…でも優勝するって王女様と結婚するってことだよね?ミューラ−さんに出てみろって言われたから出てみたけど…したらしたらで困ったかも、嬉しいけど」
「はぁ?何だそれ」
「だってと結婚出来なくなるじゃんっ」
「!?」