逃がさない
が一歩前へ踏み出せば、は一歩後ろへ下がった
逆光のためが今どんな表情をしているかは分からない
しかし、月明かりのせいか暗闇であるにも関わらず、光を帯びて浮かび上がる銀色の髪は美しい
彼女を見る蒼の双眸は闇の中でどんな輝きを持っているのだろう
「ねえ」
彼女の名を呼ぶ自分の声が震えを帯びていることに気付かない程冷静さを失っているわけではないと少なからず安心する
しかし、身体を襲う不快感を払う術はどこにもないことに苛立って
怯えた表情でこちらを見るに大丈夫だよと穏やかに微笑みながらも、獣のように貪るようにその型のいい唇に喰らい付いてすべてを奪ってしまいたい行動に駆られる
彼女が誰に微笑んで、誰のために泣いて、誰のために苦しんで、誰と口づけをしようとも
そう、自分以外の誰かとどんな関係を持っていようとも構わないはずなのに
「二人で許されないことをしようか」
堕ちていくのは自分だけでいいはずなのに
こうして君に手を伸ばしてしまうのは
君のことを狂おしい程に愛しているから
情欲は衝動を伴って