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すやすやと眠っているその顔は、最近見た中で一番幸せそうな色を浮かべているようで、ああ、こんな子どもっぽい顔もするんだな、と思うのと同時に、何だかリヒャルトの顔を久しぶりに見たような気がした。ああ、そう言えばここ一週間彼との接触を断っていたんだ (言い出したのはわたしの方なのに!) ということを思い出す。一瞬で唇に熱が集まったような気がして、心臓の音が どくん、 と波打った。 (ああこの音で起こしてしまうんじゃないかと心配になるくらいに、それはもう大きく) リヒャルトとのキス、は嫌だった、わけじゃない。ただ、驚いただけ。恥ずかしかっただけで。むしろ、にとってはすごく嬉しかったことだった。 (本人には口が裂けても云わないけれど!)(だって調子に乗るから、) けれど、今まで キスのキの字も知らないような、恋愛というものにほど遠かったからしてみれば、キス、なんてそれはもう大事件で。緊張で死んでしまうのはないか、というくらいに勇気がいるものだったのだ。それなのに、分かっているのかいないのか。予告もなしに(普通、キスをするのに予告する人なんていないでしょう、なんては言っていたけれど)リヒャルトが突然、唇をぶつけてくるものだから。驚いて、思わず「触らないで!」なんて言ってしまうのは当然のことでしょう?そう、それはまるで甘美な毒のようで、ワタシの思考を狂わせて、わたしがわたしではなくなっていくような気がしたの。 「 、」 小さく紡がれた言葉に、大げさなほど肩が震えて。 「 、」 と云う彼の寝言鼓膜を響かせて、 (ああ、わたしの夢でも見ているのかな、) なんて考えたら、頬に熱が一瞬で集まって、恥ずかしくてたまらなくなった。けれど、それと同時に、キスをしたいな、なんて思ってしまうわたしはいつの間にか、少し、というかかなり彼に夢中になっている証拠なのだろうか。 (明日で禁止令は終わりにしようかな、) 答えなんて分かりきったこと。でももう少しは、まだ、このままで。 |
愛しさが深くなる前に
(まずはもう一度キスから始めましょうか、)