ドリーム小説



知っていますか、






  思いを伝えるのはこんなにも難しいことだったのか、と苦悩する

  カイルらしくないと自分をよく知っている人ならば言うだろう

  花のように可愛いらしい女性、妖艶な美貌を持つ女性、芯が通った燐とした女性

  これまで自分はあらゆる女性に見境なく声をかけてきた、例え彼女に夫という人生の伴侶がいたとしても

  女性が頬を紅らめてしまうような言葉を紡ぐことなんて容易いことだ、甘美な響きを持つ言の葉を耳もとで囁けばいいだけなのだから

  

 「カイル、今日はとても大人しいのね」



  しかし、今こうして自分の目の前でのんびりとカモミールティーを飲んでいる少女は別

  貴族の出身だというのにも関わらず、女王騎士になった彼女、はこの古城の主でもあるの幼馴染みでもある

  気品のある物腰は彼女の出生を聞けば納得できるが、常に腰に常備している双剣と紋章の腕前は同じ女王騎士である自分が舌を巻いてしまう程で

  彼女は自分が持つ女性としてのイメージとはまるで違うのだ――まあそこが好きな所なのだけども

  だから一筋縄ではいかないことは事実、真正面から突っ込んで今までと同じように耳もとで甘美な言葉を囁いても通用する訳がなく

  告げたら最後、それこそ首が胴体から離れることになることは否めない、例え自分が彼女の恋人であったとしても

  それに下手に幼馴染みでもある王子の耳にも入ったらそれこそ厄介なこと極まりない

  彼だって自分と同じでのことを愛していることに変わりはないのだから



 「カイル?ちょっと聞いてるの?」

 「聞いてるよー」


  
  何かいい方法はないかなぁと思う

  こんなにも好きで好きで仕方がないということをどうしたら伝えられるのだろう
  
  ただ好きだと言うだけではつまらないし、仮に言ったとしても、会う度に言っているものだから簡単にあしらわれてしまうだろう

  うーんうーんと唸っているカイルには呆れながらカモミールティーと飲み干した



 「カイル、私、王子に呼ばれているから先に行くね」



  ガタンと席を立つ音にハッとした時にはもうは背を向けて歩き始めていた



 「わ、ちょ、ちょっと待って!」



  慌てての後を追いかけて腕を掴む

  不思議そうな顔をしてどうしたの?と聞く彼女に対して咄嗟に出てきた言葉は



 「俺と結婚して下さい」



  今自分は何て言った?と自問自答し、出てしまった言葉の意味を考えて頭がパニック状態になる

  確かに自分はが好きで仕方がないんだという気持ちをどうやって伝えたらいいかと悩んでいたけども

  それを告げるどころか色々なことを吹っ飛ばして人生のパートナーになって下さいと言ってしまったのだ

  ああでも何れ言おうと思っていたことだしいいか!と楽天的に考える自分と物事には順序があるだろう!と慌てる自分がぐるぐると回る



 「…本気、で?」



  カイルの腕を掴んだの腕は震えていた、そして声も僅かに

  段々と気持ちが落ち着いていく感触を感じ



 「俺は何時だってに対しては本気だよ」


  
  震える手を自分のそれで包んで

  大粒の涙を流すに返事は?と聞くまでもないということは分かりきったことで

  綻ぶ頬を止めることなんて無理だと思う







 僕がどれだけあなたを好きかということ を。







 「この戦いが終わったら、俺と結婚して下さい」