夢を見た。それは不確かで、不透明で、曖昧。言葉にするのはひどく難しい。ただ、すべてが灰色の世界だっということだけは覚えている。ただの夢なのか、それとも紋章が見せている夢なのかは分からない。けれど、頭のどこかでこの景色はこれから起こりうる未来なのだと漠然と思った。
そう、きっと、この未来が叶ってしまえば、世界が終わるのだ。



「ルック?もしかして、寝てるの?」
「・・・・ 、 、?」
「・・・ 珍しいね、ルックが無防備に寝てるなんて、」
「・・・・ 寝てた、?」
「うん、ほんの十分くらいだけどね、」



夢を見た。それはモノクロームな世界で。色のない単調な世界だった。モノクロームな視界の中で自分の手を視界に入れてみると、その手は今にも崩れそうで、脆く映る。ビュウ、と風が吹いて、その冷たさに思わず目を瞑ると。 ボロリ、 と何かが崩れる音がした。 背中をひやり、と冷たい汗が流れるのを感じながら、おそるおそる目を開けてみると。 そこには。  視界に映ったのは、 自分の身体が砂と化し、崩れていく様、 で。  その姿に、愕然とした。声すらあげられなかった。けれど、その様子を冷静に見ている自分がいるのは確かで。頭の片隅で思う。・・・・・そう、これは自分の未来なのだ。



「ちょ、ルック!!!?」
 


気がつけばを押し倒していた。この自分の両手に力を入れれば、は死ぬ。いとも簡単にそれは消えていくだろう。そう、まるで自分が見た灰色の世界のように。一瞬で。それを頭の片隅では分かっているのに、この手を離すことに迷う自分がいる。そんな自分が恐ろしいと思った。けれど、この手を手放せない。まるで、何かに操られているかのような感覚だった。  紋章が見せた、夢。   あんな未来になるなんて、冗談じゃないと思った。あのモノクロームの世界でを失うのならば 、   いっそのこと。      


――――自分の手で彼女殺した方がましだ。 


頭の片隅で誰かが囁いた気がした。   ああ、そうだ、それがいい。  頭の中がクリアになる感触がした。 そう、今の自分はの運命を握っているのだ。 そうだ、そうすれば、は、誰にも留まることもないし、何者も捕まえられることもなくなる。 永遠に自分だけのものになるのだ。   ああ、なんて、幸せな。   のすべてが自分だけのものになると考えただけで、喜びで笑いがこみ上げてきそうだった。




「・・・私を殺すの?」
「・・・そうだって言ったら、どうする?」
「・・・ ルックがそうしたいなら仕方ないかな、って思う・・・でも、」
「・・・でも?」




こんな状況だというのに、は綺麗に、そして柔和に微笑んだ。   頬に触れた手のひらが温かくて、何だか胸が締め付けられる気がした。   




「・・・ ルックはそんなことしないって思う、だってわたしが死んだらルックはひとりぼっちになってしまうもの、」




揺れた目を、震えながら向ければ。はこちらが絶句するほど、あまりにも柔らかな微笑みで見つめ返してきた。ああ、どうして。どうしてそんな顔をするの。どうしてそんな顔をして君は笑うの。 ルック、 と声が呼んだ。 




「わたしがルックがいないと生きていられないように、ルックもわたしがいないと生きていけないでしょ?」




ね、ルック、  もう一度掠れた声が呼んだ。ああ、、君はずるいね。全部分かっているくせに、そんな声色で僕の名前を呼ぶなんて。ぎり、 と歯を食いしばってから、の細い身体を抱きしめた。それに応えるように、遠慮がちに腕が背中に回される。ああ、結局、には僕の考えなんてすべてお見通しってことだろう?だって、どう考えたって。どうしたって、僕がを手放せるわけ、ないじゃないか。だって、結局僕のすべてはで。僕の思い出のほとんどが、彼女で埋め尽くされていて。どんなに苦しい運命だって、どんなに不平等な未来だって。彼女と一緒にいれば生きていける気がしていたから。




「ねえ、ルック、」
「・・・・ 、なに、」
「大好きだよ、」
「・・・・ズルイよ、は」




本当に、ズルイ。 と呟けば、ふふ、と心底愉快そうな笑い声が鼓膜を震わせて、眉を寄せた。けれど、じい、とこちらを見やる漆黒の瞳と、目があったら、もう。誘われるように彼女の唇に吸い付いたのはいうまでもないことで。背中に添えられていた腕が首に回るのを確認してしまったら、もう。あとはすべてを忘れて溺れるだけ。







ペリアルの純愛









ほんの少しだけ、君がいない世界で生きていこうと思った。
でもねやっぱり、僕は君がいないと生きていけないみたいだ。















ルック夢をリクエストしてくれた方へ!リクエストサンキューでした!^^^^初めて単独ルック夢を書くのですっごく緊張しました・・!大好きなキャラだから尚更!ワタシの中で設定としては3の前かなーなんて思っています。ヒロインはあの5人組でぎゃあぎゃあ騒いでいるヒロインを想像しながら書きました。もしこんな子がルックの側にいたら3のラストみたいにならなかったんじゃないかなーなんて思っていたり。シリアスということで書いていたらいつのまにか裏な雰囲気になっていたので慌てて軌道修正して書き上げたものです(笑)期待に応えられていたら嬉しいな・・・!大好き!というメッセージがすごくすごく嬉しかったです!いつも読んでくれてありがとうございます!これからも頑張ります!^^^^リクエストありがとうでしたー!!!