当たり前でしょう?

 「王子さん!」


  自分の名が紡がれたことに気が付いて後ろを振り向けば、そこにいるのは自分と言っても過言ではないくらいに似ている人物

  彼、ロイは単に銀色のカツラを被り、自分と同じ服を着ているだけだということは重々承知しているけれども

  違うのは瞳の色と声色だけで、もう一人のがそこにいるような感じがして、未だにロイのこの姿に慣れることは出来ないのは事実であった

  

 「ロイ?どうしたの?」

 「あのさ、俺考えたんだけどよ!」



  金色の瞳をいつも以上にキラキラさせながらロイは一体何を言おうとしているのだろう

  まさかまた僕を困らせるようなことを言うんじゃないだろうね、と訝しへに窺えば



 「リオンがお前の護衛として戦に行くなら、が俺と一緒にいてもいいよな!?」



  案の定、なわけであって



 「どうして?」



  動揺している内心を覚られないように微笑みながら言う

  理由を聞けば、が影武者である自分の側にいれば相手の目をごまかせるのではないかという至極安易な考えであったため溜め息を一つ



 「却下」

 「何でだよ!?」



  口をとがらせながら眉を顰めるロイに向かって当然でしょ?と言わんばかりには笑う



 「だって僕とが離れるなんて有り得ないことだからね」



  ぽかんと口を開けたまま固まるロイの肩をポンと叩いて、ルクレティアに抗議しても無駄だからねと擦れ違い様に耳もとで囁き

  まあ本人に言っても同じことだと思うけどと手をひらひらと振りながら立ち去る

  

 「わっかんねーだろ!?」


  
  まさかそんなこと、が、あるわけ

  その自信がどこからくるのかと自分でも不思議だけども、それでも根拠の無い確信が自分にあるのは確か

  青い瞳が月明かりできらりと輝き、いつもと違い不適に微笑むにロイは目を見開いた




 「だって愛されてるから」



  満面の笑みで答えるに今度こそロイの開いた口は塞がらなかったのは当然のこと

  初めて見る彼の穏やかな笑顔は、かの少女を恋い焦がれてやまないもので

  悔しさよりも呆れにも似た溜め息が口から漏れた

  



  




  みっともないなんてにも言わせない









 「ねえ

 「はい、何でしょう?」

 「自惚れてもいいかな、僕が君に愛されてるってこと」