ドリーム小説
「本当に君って馬鹿だよね」
森の側で火をおこして暖をとっていたは、突如聞こえた耳慣れた声にぱちぱちと爆ぜる炎を見ながら苦笑いをした
どうやら彼の思ったことをずばずばと言う態度は変わってはいないらしい
「馬鹿ってそれは言い過ぎなんじゃないの、ルック」
「馬鹿を馬鹿と言って何が悪い」
「酷いなぁ…」
小生意気な口調に一々突っかかっていた以前の自分を懐かしく思う
それと同時に彼の言葉をさらりとかわすような余裕が今の自分にはあるような気がして少なからず驚いた
それ程までに時が経過していたのか、そう言えば久し振りに聞く友人の声色は最後に聞いたそれと較べると若干低くなっていることに気付く
「だってそうでしょ、自分以外の人間が彼女に干渉することをあれ程嫌がっていたのに、いざという時になって君は彼女を拒絶したんだから」
彼女が誰かなんてそんなことは、分かりきったことで
一体どれだけ泣かせれば気が済むの?と言うルックの言葉が心に突き刺さる
「否定はしないよ、でも」
「ソウルイータ−の呪いが恐ろしくての側にいられないんだ、なんて言ったらこの風の紋章で切り裂くよ」
ルックの目は本気だ、少しでも図星の色を見せればこの首は確実に飛ぶ
「ソウルイータ−は災いを呼ぶ、かの紋章が戦争を起こしたと言っても過言じゃない」
ゆっくりとに近付くルックは、月明かりのせいか、いつもと違う雰囲気を醸し出していて
綺麗な顔だちはいつもより整い、そくりと背筋が震えた
「でもね、君はその紋章が起こした大きな戦いを終わらせたんだよ、だから今の君なら…悔しいけど、紋章の力を抑えることくらい可能なんじゃないの」
ルックの言葉にのアメジストの瞳が揺れた
「ルック…」
「理解したのなら早く行けば?僕以外の誰かを思って涙を流すを慰める役なんて、もうごめんなんだよ」
が何か言おうとしたその時、耳に聞こえてきたのはかの愛しい愛しい彼女の声で
驚いて目を見開けばルックが、してやったり、の表情で自分を見ているものだから
ああよくも自分をはめたなと声を荒げたかったけれども、それよりも先に身体が動いてしまい
「!!」
声にするだけで心が満ち足りた気持ちになるその名を呼んで森の中を走り抜けた
正面に小さな灯りがゆらめくのが見えて必死に目をこらせば、月明かりと松明の光によって照らし出された少女の姿が目に飛び込んできた
「っ…!!」
と呼ばれた少女は突如呼ばれた自分の名前に大きく目を見開かせたが、しばらくして名を呼んでいるのがだと知ると松明を放り出して駆け寄ってきた
「…!」
お互いに名前を呼んで、そして抱きしめあう
触れるということに抵抗があったなんて考えられないくらいに強く強く抱きしめたら
ようやく止まっていた時間が動きだしたような感じがした
さあさあ手を繋いで終わりのない旅の始まり