?、」
「・・・ん?」
「好きっ!」
「え・・・!!!」
「照れてる?」
「照れてない!照れてないったら照れてないんだからねっ!」
「・・・本当に、ってわかりすいよね」
「え!?」
「・・・顔が真っ赤、」
「・・・!!も、リヒャルトさんなんて嫌い!」
「え、それは困る!ちょ、待ってよ、?!!」


好きな人ができた。それはもう本当に急で。自分でも驚いてしまうくらい、突然の出来事。今まで人を好きになるという経験がなかった私にとって(私の記憶が正しければの話だけれど)これは一大事。私の好きな人・・・は、自分で言うのも恥ずかしいけど、リヒャルトさんと言う。見た目はとっても可愛らしくて(本人に言うと怒るので言わないけれど)いつもニコニコ、柔和な笑顔を浮かべている。男なのに、上司であるミューラーさんのことが大好きで、彼の口癖は「ミューラーさん、ミューラーさん」だということは周りの人も認める周知の事実。しつこく名前を呼べばミューラーさんから金棒で頭を殴られることは分かっているのに、リヒャルトさんはちっとも懲りていない。そんな光景が、もうこの城では当たり前になっている。それでもリヒャルトさんはいつもニコニコと笑う。そんな彼に私がいつも苦笑いしてしまうのも致し方のないこと。端から見たら彼はとっても頼りない人物に見えるかもしれない・・・・・・だけど、そんな彼が実はすごい人だと知ったのはつい最近のこと。

実は彼はリンドブルム傭兵団の切り込み隊長。その柔和な笑顔からは想像できないほどの剣才を彼は持っていて。まるで舞うような動作でモンスターを倒していく様子を見たときは震えが止まらなかった。けれど、残酷なはずなのに、彼の剣舞はひどく美しくて、血を浴びたその姿すら綺麗で、目を奪われてしまった。そんな状態で「僕に溺れてみない?」なんて言われてしまったら、それはもう恋愛経験が皆無な私にとっては最強の殺し文句になることは言うまでもない。



「ハイ、捕まえたあ」
「・・・っ、リヒャルトさ、」
、リヒャルト!」
「・・・リ、リヒャルト、」
「ハイ、よくできましたあ、もうってば逃げるんだもん」
「うん、ごめん・・・あ、謝るから・・・だからリヒャルトっ!」
「うん?」
「腕を解いてくれる?」
「・・・・・・・・・」
「リヒャルト?」
「・・・・・・ダーメ、」
「え!?」
「だって言ったでしょ?」

もう逃がさないって。

リヒャルトの掠れた声色が耳元をくすぐる。それはいつもより低くで、私の鼓膜を甘く震わせる。いつもは子どもっぽいのに、たまにこうして大人の甘い台詞を吐くから、本当に彼は狡い。耳にかかるリヒャルトの吐息にすら反応してしまって、私はひゅう、と息を飲んだ。そんな反応にリヒャルトは至極可笑しそうにふふ、と笑う。ああもう、本当に彼は意地悪だ。こんな意地悪な人、どうして好きになったんだろう、と私は唇を強く噛んだ。でも、私はリヒャルトの腕を振り払うことはできないのだ。それは悔しいけれど確信しているから。

まだ、芽生えたばかりの気持ちだけれど。昨日より今日。今日より明日。私はもっと貴方を好きになるってことを、だ。






恋の仕方なんて知らなかった。
だから無防備に恋に落ちた。