ああそうか、これが










弱冠17歳にしてリンドブルム旅団の切り込み隊長を勤めるリヒャルトさんは、その柔和な笑顔からは想像できないほどの、剣才を持っていると知ったのは、つい最近のことだ。まるで舞うような動作でモンスターの息の根を奪っていく、その姿にぞくりと身を震わせたのは記憶に新しい。しかし、彼の鮮やかな剣さばきはあまりにも残酷で、ひどく美しい。血を浴びたその姿すら目を引きつけられて。どうしてだろう。それから、以前よりも、もっと目が離せなくなった。はこれを恋と呼ぶ。恋。こい。コイ。その言葉を何度も頭にリピートさせてもピンとこない。わたしはこのひとのことがすきなのだろうか?


「……、今日は随分と大人しいんだね」
「…え?」
「いつもはこんなことされると嫌がるのに、何を考えているの?」


ねえ、僕のことだけを考えていてよ。僕以外のことなんて考えないで。腰に絡められた腕の力が強まる。ぐっと、近くなったリヒャルトさんの端正な顔に、息が止まった。


「…リ、」
「逃がさないよ、」


 逃がさないから。 目を細めて至極優しそうに彼は笑う。ねえ、本当に貴方は意地悪ね。私に考える暇すら与えてくれないの? ねえ、、 と至極可笑しそうな声色で私に囁く。


「僕に溺れてみない?」


――――ああ、確かに。






恋に落ちるのなんて、一瞬あれば十分だ