ドリーム小説


 「こんなになるまで我慢してたの?

  
   久し振りに会った彼女の口は鉄の味がした

  ぺろりと唇を舐めれば舌先に僅かな苦味を感じ


 「こんなに唇を噛んで、血が出てしまうくらいまで、耐えてたの?」


  きみはあまりにも優し過ぎるから、フェリド様や陛下の死を聞いてもずっと泣かずに我慢していたんだろう?

  王子のことを思って、一番辛いのは両親を失い、すべてを奪われた王子だということがきみには分かっていたから

  泣くくらいなら王子を支えろと、自分を叱咤してまで、唇を噛んでまで、血が流れてしまうまで、強く


 「…は、やっぱりカイルには適わないなぁ」
 
 「ちょっと、僕を誰だと思ってるのさー?」


  君の恋人ですよ?と言えば、はふと笑い、そうだね、と今にも泣きそうな顔をして僕に抱き着いた

  その細く白い腕は僅かに震えていて


 「ねえ、カイル、一つだけお願いしてもいい?」

 「可愛い恋人の頼みなら、俺、何だって聞いちゃうよ!」


  泣いてもいいですか、と震える声で言葉を紡ぐ彼女を抱きしめて

  肯定の意味を込めてキスを振らせれば、彼女の震えが止まったような気がした




  きみは優しいから




  僕が来たからにはもう大丈夫

  きみが望むなら、いつでも、この身体で涙を拭ってあげる