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「、明日からリンドブルム傭兵旅団の医務を担当して貰うことになったから」 そのつもりでね、と擦れ違いざまにまるで朝の挨拶のように、さらりと口にしたに頭痛がした。柔和な笑顔を浮かべながら 「じゃあ、よろしく」 と立ち去ろうとするがあまりにも勘に障ったので(勝手に決めるってどういうこと?)後頭部目掛けて分厚い医書を投げ付けた。(その後はもちろん逃げたけども) 「あ、!」 相変わらず、顔いっぱいに笑みを浮かべながらリヒャルトさんが手を振りながらこちらに歩み寄ってきた。 「リヒャルトさん、お早うございます」 「おはよう〜、ねえそれより王子さんから聞いたんだけど、今日から旅団の医務を担当することになったって本当?」 「はい…どうやらそう決まったみたいですね…」 「じゃあ今日からずっとと一緒ってことなんだ!」 やったあ!と両手を上げて喜ぶリヒャルトはまるで子どもそのもの。可愛らしい容姿も合わさって、何とも微笑ましく、は自然と笑みが浮かんだ。先日の一件(私がリヒャルトさんとミューラ−さんは恋人同士だと勘違いしたとき)以来、リンドブルム傭兵旅団と接する機会が多くなった。どうやらヴィルヘルム隊長の目にとまったらしく、毎日のように酒飲みに誘われている。隊長曰く、私を気に入った要因は、誰もが思っていても口にしなかったことを平然と口にした、からであるらしい。ミューラ−副長にいたっては私を完全に敵と見なしたのか、会う度に「馬鹿」とか「阿呆」と頭を叩いてくる始末で。(金棒じゃないだけましかもしれない) 「…ってば冴えない顔、もしかして僕たちのところに来るのは嫌だった?」 「え!?そ、そんなことないです、よ?」 むしろ嬉しいです、と喉元まで出かけた言葉を飲み込んだ。じっと、真直ぐにこちらを見てくるリヒャルトさんの視線に耐えられなくて、思わず顔を背けてしまう。 「それってつまり、好きなんじゃないの?リヒャルトのことが」 の台詞が脳内をぐるぐると回った。好き、という気持ちなんてもう忘れてきてしまったと思っていたのに。けれど、この気持ちは「好き」というよりも、むしろ、「羨望」に近いと思う。だって彼には、彼らには私が忘れてしまった、人のぬくもりが溢れているように見えたから。人の温かさを知っているように見えた、から。絆が見えた、から。目眩がするほどの温かさを感じたの。それが、幼い頃から一人で生きてきた私にとって、とても眩しくて、そして愛しく見えたのだ。だから。 はやくはやくはやく、(言わなくちゃ) 嫌なんかじゃない。むしろ。 「とても嬉しいです」 と 「ずっと貴方たちと話をしたいと思っていたんです」 そう口にしたら、リヒャルトさんは私が惹かれてやまないあの笑顔で、「ありがとう」と綺麗に微笑んだ。 |