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最近、彼女を見ない。それだけが最近の、リヒャルトの気にかかることだった。結局、あのまま(って呼んでもいいのかな)に消毒をしてもらったときに、二言三言、言葉を交わしたきりで。ああ、もう一度あの子に会いたいのに、とリヒャルとは頬を膨らませる。でもそこまで考えて、あれ?と思う。どうしてこんなにもあの子のことが気になるんだろう?たった一回しか会っていないのに。毎日会っているミューラ−さんよりもあの女の子のことを考えているなんて!(今までこんなこと、なかったのに) 「今日のリヒャルト、何だか大人しくて不気味」 いつもミューラ−さん、ミューラ−さんと鬱陶しいくらいに煩いのに、何かあったの?、とリヒャルトの隣を歩いていたは王族に相応しい、気品に溢れた笑みを浮かべた。しかし、笑顔はとても爽やかなのに、口に出している言葉はけっこう酷いということにこの王子は気付いているのだろうか。ああきっと分かっていてやっているんだろうな、と本人には気付かれないように王子の反対側を歩いていた彼の影武者は、はあ、と重い溜め息を吐いた。 「うーん、だって、会いたい人に会えないんだもの」 「こいつがミューラ−以外の人間に興味を示すわけないじゃん」 いつも溢れんばかりの笑顔をはなっている彼が何時にもなく大人しいのはやっぱりミューラ−が原因だと、とロイは<納得をした。ああ、ついにリヒャルトのミューラ−に対する執念は行き着く所まで行ってしまった、と普段彼の行動を思えば充分考えられる答えに至った二人は、それ以上リヒャルトに何も突っ込むことなく他愛もない話を再開させようと口を開いたが。 「ううん、っていう女の子なんだけど」 リヒャルトの爆弾発言とも言えるそれに、もロイも空いた口が塞がらなかった。二人とも酷い顔!とあはは、と笑う彼に対して思うことは万年ミューラ−馬鹿なこの男に気になる女の子ができたということだ。気になる女の子=好きな女の子ができたという公式がぱっと頭に浮かんだ二人は更に口をあんぐりと開けてしまう。(それを見てリヒャルトはまた大笑いをした) 「リ、リヒャルト、はその子のことが好き、なの、か?」 「好き?まさか、僕が好きなのはミューラ−さんに決まってるでしょ?」 さも当然、と言わんばかりにリヒャルトは言う。そんなリヒャルトの様子には?と二人は顔を見合わせてしまうのは、当然のことで。 「お前、さっき気になるって言ったじゃねーかよっ!!!」 「それはそうなんだけど」 「じゃあ、どうしてリヒャルトはが気になるの?」 の問いにしばし考えて、一つ思い当たったのは。「大丈夫ですか?」と自分を心配そうに見る彼女の瞳があまりにも澄んでいて綺麗だったからだ。フェイタス河のようにきらきらと、青青と輝やく瞳があまりにも印象的だったからだ。脳内に彼女の青がやきついて、離れない。どうしてだろう?うんうん、と唸っているリヒャルトを見て、王子とその影武者はもう一度は再び顔を見合わせて、そして呟いた。 |