あ、機嫌直った
「もういい、なんて知らない、勝手にすれば!」
一同が呆気にとられている中、はを青い瞳で一睨みした後、その横をするりと通り過ぎて軍議の間を足早に出ていった
普段とても温和な彼が声を荒げて怒ったという事実に、周囲にいた者達は皆、驚きで開いた口を閉じるのを忘れてしまい
彼は怒るという行為をあまりしないのだ、諭すといった方が正しい、至上の笑顔を満面に広げて微笑みながら
ある意味で怒られた方がましなのではないかと思うことも事実、それは決して口には出さないけれど
「えっと…」
滅多に見ないものを見たせいか、の意識はまだ覚醒していない
しかし、頭の中ではの言葉がぐるぐると回り
彼の台詞が明らかに自分に対して怒っているということはもう分かりきっているけれども
自分が一体何をしたというのか、その理由がまったく分からなくて
「あ〜あ、王子、拗ねちゃいましたよぉ」
「え、拗ねた…?」
ミアキスだけが唯一この中で王子の行動を理解しているらしく
「そうですよぉ、ちゃんったらロイ君の護衛に付いてもいいとか言うから〜」
「え、」
「ロイ君が悪いんですぅ」
「俺かよ!」
横目でじろりとミアキスに睨まれたロイはまさか自分に原因があるとは思ってもみなかったようで自分自身を指差して驚きの声を上げた
にこりと可愛らしく微笑みながら言うミアキスであったが、彼女の台詞には棘が刺さっているように思えて
ああ、この間リオンから聞いたあのお風呂での一件をまだ気にしているのだな、と苦笑いを一つ
「だってそうでしょう?自分の好きな子が自分以外の男の人と一緒にいるなんて我慢できませんよぉ」
ねえ、とを見てミアキスは笑う
「王子さんにはリオンがいるんだからが俺の護衛に付いたっていいだろ!」
「そういう簡単な問題じゃないんですよ」
「わっかんねーよ!何が悪いんだよ」
「ロイ君はまだまだお子さまですねぇ」
「てめぇ!!」
「ああ、ほらちゃん!そんな所でぼさっとしてないで早く王子の機嫌を直してきて下さいな」
後でとばっちりを受けるのはごめんですから、とミアキスはの背中を押し、何かを言おうとする前に軍議の間から追い出されてしまい
部屋から出た後も、後ろからミアキスとロイの言い合う声が いつまでも響いていた
「王子、」
「何?ロイの護衛に付くんでしょ?こんな所にいる暇なんてないんじゃないの」
はベットに横になっていた、腕で目もとを覆っているため、表情を窺うことができない
声が怒気を帯びていたけども、不思議と恐くはなかった、反対に嬉しさが全身に込み上げてきて
ああ、嫉妬してくれたんだなぁと頬が緩む
「いかないよ、私はずっとの側にいる」
「…それはどうかな」
「私が信じられない?」
どうしたら彼の機嫌が直るのかと暫し考え、そして思い付いたものは
「、」
「だからっ…っ!」
起き上がったの頬に両手を置いて、強引にキスを一つ、それも少し長めのキス
「〜〜〜〜〜っ」
「あ、直った」
賭け事、勝負、さあラブゲーム、スタート
「…これで済むとでも思ってるの?」
「え、ちょ、…!」
「もっと」
キスを強請って、は笑った