もう、離れられない
逃げ道なんてものはなかった
背中にはひんやりとした壁の感触を感じ、顔の真横にはすらりと伸びた腕が駄出口を塞いでしまっていて
目の前には恐いぐらいに真直ぐな青の瞳がの動きを止めてしまっているようで
「ねえ、僕は一体いつまでを見ていればいい?」
の声は驚くほど静かで、そして透明さを帯びていた
雰囲気がいつもより儚くて、今にも消えてしまいそうな雰囲気を纏い
の腕は無意識の内に伸び、の首に絡まった
少し強く抱き締めると、の体は少し強張った、けれども、壁についていた腕はゆっくりと下ろされの腰に巻き付き
「…」
普段は王子と呼んでいるけども、今だけは彼の名前を
今だけは王子と女王騎士といった主従関係ではなく、とという幼馴染みに戻って
「がね、好きなんだよ」
どうしようもなく、と答えたの声は掠れていて、いつもより低くて、甘い響きを帯びていた
「知らなかったなんて言わせない」
――気付かないわけが、ない、私を見るの目と、を見る私の目が同じ色を持っていたのだから
一緒にいる時間があまりにも長すぎてしまったのかもしれない、言葉など互いの間には不要で
相手が隣にいてくれるだけで居心地が良くて、そして、幸せだったのだから、とてもとても
何時しかそれに甘えてしまっていてお互いに大切なことを伝え忘れてしまっていたのかもしれない
「…知っていたよ、私も、のことが大好きだから」
腰に回されていた腕の片方がゆっくりと離れ、少し紅く染まったの頬に置かれた
「うん、知ってる」
はにかんで笑う彼に微笑んで、今まで伝えられなかった言葉の変わりにキスを奪い合う
とまらないのは想いの熱、
ふえていくのは想いの質量