ずっと一緒だと、約束したのに
どれだけ手を伸ばしても、空を掴むだけで
ああ君はもう自分の手の届かない場所に行ってしまったんだとようやく気付く
それでも目蓋を閉じると見えてくるのは残像と言う名の甘い幻で
彼女が感触のない透き通った掌で自分の頬に触れる度に涙が溢れた
『王子、私の身体を、フェイタス河に投げ込んで下さい…これは王子にしか頼めないことなんです…』
自分が死んだということが知れてしまったら、軍の志気に関わるからと
残されたストームフィストとソルファレナを解放し、捕われたリムスレ−ア王女を救い出せばすべてが終わる
あらゆる武術、そして紋章魔法にも優れ、女王を支える役目を担う女王騎士が死んだと聞けば兵士達は動揺してしまう
また名の知れた自分が死んだと聞けば敵は勢いをつけるかもしれない
生まれた希望をここで絶やすわけにはいかないと
それだけは避けなければならないからとだから自分の死は隠さなければならないとは息も絶え絶えにこう告げた
何て残酷なことだと、思う
『…王子、どうか、私の見ることが出来なかったファレナを…ファレナを、正しき道へと導いて、下さい…』
ゆっくりと自分に向かって伸ばされる掌を無我夢中で取って、身体ごと抱きしめる
の体温が徐々に奪われていくのを感じながら、抱きしめることで自分の体温を与えることによって少しでも彼女を救おうと
『王子、私は、ファレナの一部になります…だからこれからもずっとずっと王子の側にいます…』
だからどうか泣かないで、と弱々しいけれどは優しく微笑む
涙はいつしか止めどなく溢れ、拭うことさえ億劫になるほどで
『…』
王子ではなくと呼んでと散々強請っても、いくら幼馴染みと言えども女王騎士が王家の人間を呼び捨てにするわけにはいかないと言っていたのに
こんな時になって名前を呼ぶなんてきみはどこまで残酷であれば気がすむのだろう
「…っ!」
ああもう君はどこにもいないんだ
目蓋に残るのは君の残像
それでも僕は戦い続けるのだろう
ファレナの一部となった君を肌で感じながら