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昔から、音楽はわたしの一部だった。それは、自然と、当たり前のようにいつも隣り合わせにあった。祖父母は有名な音楽家であるし、叔父は元ヴァイオリニストで叔母はピアニスト。その妹でもある母も元ピアニストであるし、父は叔父が社長をしている楽器会社に勤めている。(そしてヴィオラが弾ける!)極めつけはわたしの従兄で、彼は数々の音楽コンクールを総なめにした天才ヴァイオリンニストと騒がれているものだから、まさにわたしの家族は絵を描いたような音楽一家というわけだ。
そう、常にわたしの周りには、当たり前のように音が溢れていた。
特に7歳年上の従兄のヴァイオリンは大好きで、何度も弾いてくれてとせがんだ記憶がある。アヴェ・マリアにカノン、愛のあいさつ、G線上のアリア。従兄はわたしのためにたくさんの曲を弾いてくれた。それだけで、わたしは満足だった。だから、あえて自分も何かをやろうとは思わなかったし、父も母もわたしの気持ちを汲み取って、ヴァイオリンやピアノをやらせようとはしなかった。
―――、でも。
初めて母に連れられて行ったコンクール。そこで参加していた従兄のヴァイオリンの音色を聞いた瞬間に、 初めて身体が震えた。耳許に熱が集まったような気がした。鼓動がはやすぎて、脈が追いついてこないような、感覚に陥った。呼吸をすることすら惜しくて、もどかしい。無我夢中で耳を澄ませて、彼が奏でる音を追いかけた。
―――、だって、ヴァイオリンが唄ってる。
不思議な気分だった。泣きたくなるような。寂しくなるような。でも、どこか懐かしくて、愛おしいような気持ち。頭の中に自然と情景が思い浮かぶ。従兄の、蓮のこんな音は聞いたことがなかった。
「―――、おかあさん、」
「どうしたの?、」
「あのね、わたし・・・」
Overture
(これがわたしの音楽の始まり、)
「ヴァイオリンを、やりたい」
わたしもこんな音を、出してみたいと思った。
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